
建設業の事業者様から、
「朝礼前に工具や資材の準備をしているけど労働時間になるの?」
「現場作業前の準備時間にも残業代が必要?」
というご相談をいただくことがあります。
実は、朝礼前の準備時間は残業代請求で争点になりやすいポイントの一つです。
この記事では、建設業における準備時間と労働時間の考え方について解説します。
労働時間の判断基準
労働時間とは、会社の指揮命令下に置かれている時間をいいます。
つまり、
- 会社から行うよう指示されている
- 実質的に参加が義務になっている
- 業務を行うために必要な行為である
場合は、労働時間と判断される可能性があります。
朝礼前の準備とは?
建設業では朝礼前に次のような作業が行われることがあります。
- 工具の準備
- 資材の積み込み
- 車両点検
- 現場ごとの機材確認
- 作業内容の打ち合わせ
- 現場への出発準備
これらが会社の指示で行われている場合は、労働時間と判断される可能性があります。
よくあるケース① 資材の積み込み
例えば、
午前8時から朝礼開始
しかし実際には、
午前7時30分に出社して
- 資材積み込み
- 工具準備
- 車両への搬入
を行っている場合です。
この30分が業務として必要であれば、労働時間と判断される可能性があります。
よくあるケース② 現場へ向かうための準備
会社集合後、
- 社用車へ乗車
- 資材確認
- 現場指示の共有
などを行う場合も同様です。
単なる待機ではなく業務準備の一環であれば、労働時間として扱われる可能性があります。
なお、残業代の請求権には時効があり、原則として3年が上限となります。
よくあるケース③ 自主的な準備
一方で、
従業員が自主的に早く来て、
- コーヒーを飲む
- 私物整理をする
- 雑談する
などの場合は通常労働時間にはなりません。
重要なのは、
会社の指示や業務上の必要性があるかどうか
です。
残業代請求で問題になる理由
建設業では、
タイムカードの打刻が朝礼開始時刻になっていることがあります。
しかし実際には、
その前から準備作業が始まっているケースも少なくありません。
そのため退職後に、
「毎日30分早く出勤していた」
として未払い残業代を請求されることがあります。
1日30分でも数年分積み重なると高額になる場合があります。
(厚労省は「始業・終業時刻の確認・記録は使用者自らの現認またはタイムカード等の客観的記録が原則」と定めています。会社側がタイムカードの打刻時刻を始業時刻として一方的に管理しているだけでは不十分であることに注意が必要です。)
会社が取るべき対策
トラブル防止のためには、
出勤時刻を明確にする
何時から業務開始なのかルール化する。
勤怠記録を正確に残す
タイムカードや勤怠システムを活用する。
準備作業の扱いを整理する
業務として行わせる場合は労働時間として管理する。
就業規則を見直す
実態に合ったルールを整備する。
滋賀県の建設業でも注意が必要
滋賀県内の建設会社でも、
- 人手不足
- 労働時間管理の厳格化
- 退職者からの請求
により、残業代トラブルの相談が増えています。
特に朝の準備時間や現場移動時間は見落とされやすいため注意が必要です。
まとめ
建設業における朝礼前の準備時間は、
会社の指示に基づき業務として行われている場合、
労働時間と判断される可能性があります。
「朝礼開始前だから労働時間ではない」
とは限りません。
自社の運用に不安がある場合は、勤怠管理や就業規則を見直し、将来の残業代請求リスクに備えることが重要です。



